【短編】あなたなしでは生きていけない。

 

 

ねぇ、覚えてる?

 

 

あなたとはじめて出逢ったのは8年前。

 

桜が咲き始めた頃、まだ肌寒かった鹿児島の夜。

 

 

 

 

誰ひとり知り合いのいないこの土地で

何を頼りに生きていけばいいか分からず途方に暮れていた。

 

 

 

「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ。

 

気分は俵万智。

 

 

 

 

誰でも良かった。

 

ただ、ぬくもりを感じたかっただけ。

 

何も言わず、私を包んで癒してくれれば良かったの。

 

 

 

 

「そんな都合のいい話なんてあるわけない」

 

そう思ってた。

 

 

 

これまでの人生だってそう。

 

おいしい話の裏にはかならず「代償」がついてくる。

 

 

身をもってわかっているはずだったのに、

もう二度と過ちはおかさないと誓ったはずなのに。

 

 

どうしてこんなことになってしまったの?

 

 

 

 

 

どれだけ求めても私のものにはならないあなた。

 

今日だって他の誰かを癒しているあなた。

 

 

 

 

どうせ私のことなんて、その他大勢のひとりとしか思っていないんでしょ。

 

 

 

あぁ、出逢わなければ良かった。

 

あなたに癒してもらおうなんて考えた私がバカだった。

 

 

 

 

でもね、

いくら自分に言い聞かせても忘れられないの。

 

 

悔しいくらいに、あなたの熱を感じて

身体が溶けるような時間を思い出してしまう。

 

 

 

 

今夜だって、たまらずあなたの元へと走ったわ。

 

 

周りがなんて言ったって、気にしない。

 

 

 

ただあなただけを求めて、

あなたのぬくもりを感じたくて

真夜中に車を走らせたの。

 

 

 

 

 

1ヶ月。

 

今日までの1か月は長かった。

 

 

会えない時間が愛を育てるなんてウソね。

 

 

悔しいけれど、もう、あなたなしでは生きていけないみたい。

 

 

 

 

 

というわけで、1ヶ月ぶりに温泉に行ってきました。

(写真は過去のものです)

 

 

 

私が心も体も裸になれる場所。

 

あなたなしでは生きていけないカラダになっています。

 

 

温泉天国、鹿児島万歳。

 


 

★★★

 

本日もご愛読ありがとうございました。

 

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